住宅ローン滞納~競売までの流れ
■住活コラム

住宅ローン滞納~競売までの流れ

【目次】

1住宅ローンを払えなくなる原因

住宅ローン滞納~競売までの流れ
住宅ローンを払えなくなるのは、どのような原因があるのでしょうか。

1.ギリギリの借入金額で組んでいた
一般的に、返済負担率は年収の35%を超えると家計を圧迫する可能性が高いため、年収の20%が目安と言われています。 年収500万円を例に挙げると、年間返済額が100万円(毎月約83,000円)であれば、返済負担率が適切な範囲です。 返済比率を甘く見積もってギリギリの借入金額で住宅ローンを組んでしまうと、後々支出が増える時期に家計が苦しくなる可能性が高くなります。

2.収入が減った/支出が増えた
住宅ローンの返済が厳しくなる主な要因は、収入減や支出増です。 リストラや不況に伴って収入が減少すれば、元々計画されていた返済プランが狂い、家計に余裕を持たせることが難しくなります。同様に、急な支出の増加がある場合、突発的な経済的負担が生じ、これがローンの返済に充てる資金を圧迫することがあります。  

3.離婚をした
離婚に伴う生活の変化は、通常の生活費や子供の養育費に加え、住宅ローンの返済にも新たな課題を生むことがあります。 以前はペアローンで支払っていた家を離婚に伴い夫が単独で引き継いだ場合、返済が負担になり支払えなくなるといった問題が発生することがあります。また、住んでいない家にローンを支払い続ける苦悩もよく見られます。

2.住宅ローン滞納~競売までの流れ

住宅ローン滞納~競売までの流れ
住宅ローンを払えなくなっても、いきなり競売にかけられて家を失うわけではありません。ここでは、住宅ローンを滞納してから競売までの流れを説明します。

全体の流れ
住宅ローンを滞納してから競売までの流れは以下のとおりです。
滞納期間 流れ
滞納1ヶ月後 金融機関から督促状が届く
滞納2~3ヶ月後 金融機関から督促状や催告書が届く 電話で、催促の連絡が来る
滞納5ヶ月後 ・期限の利益の損失予告通知(最終督促)が届く ・代位弁済の予告通知が届く 【6か月の滞納】
滞納6ヶ月後 ★期限の利益の損失となる ・住宅ローンの分割返済権利を失い、滞納分の一括返済を求められる ・代位弁済通知が届く ・保証会社から代位弁済通知書が届く 個人信用情報(ブラックリスト)に掲載される ★競売にかける手続きが開始
滞納8~9ヶ月 ・保証会社が裁判所に競売申し立て ・差し押さえ通知書が届く ・裁判所から競売開始決定通知書が届く ★競売開始
滞納10~11ヶ月 ・裁判所の執行官による現況調査
滞納13~16ヶ月 ・開札日が通知される(開札日の2日前が任意売却のタイムリミット) ・入札、開札 ★所有権の移転、強制退去


住宅ローンを6ヶ月ほど滞納した頃、期限の利益喪失(返済期日までに返済すればよいという、債務者の法律上の利益)になり、住宅ローンの残債を一括返済するように求められます。この時点で、任意売却をできるようになります。そして、期限の利益喪失後、このまま滞納を続けていれば競売に進んでしまいます。競売を取り下げるためには、開札日の2日前までに金融機関から任意売却の許可を貰う必要があります。期日を過ぎたら競売を中断することはできません。

3.任意売却の特徴とメリット・デメリット

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任意売却は、不動産を金融機関との交渉を経て抵当権を解除し、売却する方法です。

住宅ローンが残っている場合、アンダーローンでは売却額で一括返済が可能で、家の売却が実現できます。ただし、オーバーローンの場合は不動産を売却してもローンが残り、自己資金を補って完済して売却するか、任意売却を検討することになります。売却価格は仲介に比べてやや安くなりつつも、相場の80~90%程度で高く売却できる可能性があります。

  任意売却のメリットには、競売よりも高い売却価格が期待できる点や引っ越し費用の一部が負担される可能性、柔軟な退去日程の調整がしやすい点が挙げられます。また、任意売却後の返済計画や金額に関する交渉やサポートが受けられ、個人のプライバシーも守られるメリットもあります。

  一方で、デメリットとしては個人信用情報に金融事故情報が残ることや、債権者の同意が得られないケースがある点、またスケジュールが短いことが挙げられます。

4. 競売の特徴とメリット・デメリット

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5. 住宅ローンの支払いがきつくなった時の対処法

住宅ローン滞納~競売までの流れ
1.金融機関に早めに相談する
住宅ローンの支払いがきつくなった時は、早期に金融機関と協議することが重要です。 金融機関は、規定の返済期間内での返済が難しい場合でも、柔軟な対応をしてくれることがあります。

たとえば、以下のような変更が考えられます。
・返済期間の延長により、月々の返済額を削減する
・時的な元本返済の猶予を得る
・ボーナス加算をなくし、均等な月々の返済に切り替える

実際には、30年の返済期間を45年に変更して月々の返済額を削減し、返済を継続するケースも存在します。現在の住宅ローン契約によっては、返済期間を延ばすことが難しい場合もありますが、まずは金融機関に相談することが大切です。

2.住宅ローンを借り換える
住宅ローンの借り換えをすることで、月々の返済額を減らせる可能性があります。
借り換えの条件としては
・現行の金利が契約当初よりも1%以上低い
・返済期間が10年以上残っている
・ローン残高が1,000万円以上ある 場合が該当します。

ただし、借り換えには費用が発生するため、そのコストとのバランスを検討することが重要です。金融機関のローン相談会で詳細な試算を行い、損をしないか確認しましょう。 また、借り換えの際には、過去の返済履歴が重要な要素となります。2か月以上の滞納があると借り換えの審査が難しくなる傾向がありますが、1回の滞納程度であれば、一般的には借り換えの際に大きな影響を与えないと考えられます。

3.保険や給付金に頼る(怪我や病気の場合)
特にけがや病気などの理由により住宅ローンの支払いが難しい場合、保険からの給付金を確認することが重要です。
現在加入している保険には、けがや病気による給付金がどれくらい支給されるかを確認しましょう。また、団体信用生命保険には、がんや特定疾病に罹患した場合に返済が免除されるものも存在します。団体信用生命保険の詳細な内容を再確認することで、返済にかかる負担を軽減できるかもしれません。

4.通常の売却で家を売る
通常売却をするのもひとつの対処法です。
通常売却には、仲介と買取というふたつの方法があります。まず、仲介は不動産会社に買主を探してもらって売却する方法です。不動産会社が買主との交渉を担当し、物件を相場で売ることができます。即時売却ではありませんが、高い売却価格が期待でき、不動産会社が売却活動や書類手続きを行ってくれます。

一方で、買取は不動産会社が直接物件を買い取る方法で、迅速な売却が可能です。仲介手数料は発生しないが、相場よりも低い価格での売却となりがちです。

ただし、アンダーローンなら売却金で住宅ローンを一括返済できる可能性がありますが、オーバーローンの場合は任意売却となり、住宅ローン返済負担が継続する点に注意が必要です。

5.リースバック

リースバックは、家をリースバックの業者に売却かつ賃貸借契約を締結し、その業者に毎月家賃(リース料)を払いながらそのまま住み続けられる方法です。売却したら家の所有権は失いますが、将来的に買い戻すという選択もあります。必ず買い戻せるとは限りませんが、「買戻し特約」を付けることもできます。

リースバックで売却する場合の流れは以下のとおりです。

1.リースバック業者に家を売却する
まずは通常の売却と同じように業者が家を査定します。その後、提示された買取価格に合意したら、リースバック業者と売買契約を締結します。売却後の所有権は、業者に移転します。

2.賃貸契約
リースバック業者と「普通借家契約」または「定期借家契約」を締結します。普通借家契約は、一般的な賃貸の契約と同じです。2年毎の更新となるケースが多いでしょう。一方、定期借家契約は、契約期間が終了したら借主は退去をしなければなりません。

3.買い戻し
家を売却する時に、「再売買予約権」を設定した上で契約をすれば、将来的に買い戻すことが可能です。ただ、買戻し価格は売却価格の110%~130%と考えた方がいいでしょう。
すぐに現金が手に入る、固定資産税を払わなくても良い、売却後も住み続けられるといったメリットがありますが、デメリットもあります。 普通の売却よりも売却価格が安いこと、家賃が近隣の賃貸物件よりも高いこと、立ち退きを要求されるリスクがあること、買い戻し金額が高くなることが多いです。 せっかく手に入れたマイホームを手放すことには抵抗もあると思いますので、リースバックに興味がある方は不動産会社に相談されてみてはいかがでしょうか。

5.まとめ

住宅ローンを滞納してすぐに家を失うわけではありません。通常、最初の滞納から競売の手続きが開始されるまで8~9ヶ月の猶予があります。とは言え、何もせずにいたらあっという間に競売にかけられてしまいます。できれば競売にかけられる前に対処することが理想です。早期に金融機関と協力して解決策を見つけましょう

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