家を相続しても相続税がかからないケース
■住活コラム

家を相続しても相続税がかからないケース

【目次】

1.家を相続しても相続税がかからないケース

家を相続しても相続税がかからないケース

2. 配偶者控除が適用できる場合

配偶者控除は、配偶者が相続する財産に対して適用される特例で、大きな控除額が認められています。具体的には、以下の2つの条件のいずれかを満たす場合に、相続税がかかりません。

 

16,000万円までの相続財産

配偶者が相続する財産の合計が1億6,000万円以下であれば、相続税はかかりません。

 

・法定相続分までの相続財産

配偶者が法定相続分(相続財産の半分)を相続する場合、その範囲内であれば相続税はかかりません。

 

仮に、以下のような財産があったとします。

自宅の評価額:8,000万円

現預金:6,000万円

株式:2,000万円

 

配偶者がこれらすべてを相続した場合、相続財産の合計は1億6,000万円となり、配偶者控除の適用により相続税はかかりません。

 

なお、配偶者控除の適用要件は以下のとおりです。

 

・配偶者控除の適用要件

法律上の配偶者であること

相続税の申告書を提出すること

遺産分割が確定していること

3. 小規模宅地等の特例が適用できる場合

小規模宅地等の特例を利用することで、相続税が大幅に軽減される可能性があります。この特例を適用すれば、自宅が建っている土地の評価額を最大80%まで減額できるため、遺産総額が基礎控除額内に収まることが期待できます。

 

ただし、注意点として、この特例は建物自体の評価額を減額するものではなく、土地の評価額に適用されるものです。また、誰が相続するかによって適用要件が異なるため、細かい条件を確認する必要があります。

 

【小規模宅地等の特例を適用するための要件】

配偶者が相続する場合

・対象の土地が被相続人の自宅の敷地であること

・その土地を相続するのが配偶者であること

 

同居親族が相続する場合

・対象の土地が被相続人の自宅の敷地であること

・その土地を相続するのが同居していた親族であること

・相続税の申告期限まで対象の土地を所有していること

・相続税の申告期限までその土地にある建物に居住していること

 

同居以外の親族が相続する場合(被相続人が一人暮らし)

・対象の土地が被相続人の自宅の敷地であること

・その土地を相続するのが同居していない親族であること

・被相続人に配偶者がいない(死別・離別含む)こと

・相続開始前3年以内に日本国内にある取得者やその親族が所有する家屋に居住していないこと(被相続人が住んでいた家を除く)

・相続開始時に取得者が他の家屋を所有していないこと

・相続開始から相続税の申告期限まで対象の土地を所有していること

 

この特例は、同居していた家族が相続税の負担で自宅に住めなくなることを防ぐために設けられた制度です。原則として、配偶者や同居親族のみが適用できますが、被相続人が一人暮らしをしていた場合に限り、同居していない親族も要件を満たせば適用可能です。

 

自宅が相続税の大部分を占めることが多いため、この特例を適用できるかどうかをしっかり確認することが重要です。不明な点があれば、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

2.相続税がかかるかどうかを判断する手順

相続税がかかるかどうかを判断する手順
相続税がかかるかどうかを判断するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。以下にその手順を詳しく説明します。


次に、法定相続人を確定し、基礎控除額を計算します。法定相続人とは、民法で定められた相続権を持つ人たちのことです。基礎控除額は、相続税の非課税枠を決めるもので、以下の計算式で求められます。

 

基礎控除額の計算式

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

 

たとえば、法定相続人が配偶者と子供1人の場合の基礎控除額は以下のようになります。

3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円

 

法定相続人を確定するには、戸籍謄本などの公式書類を調査し、正確な相続人の数を把握します。これにより、基礎控除額が決まり、相続税がかかるかどうかの判断が可能となります。

 

具体例として、次のようなケースを考えてみましょう。

 

配偶者

子供1人

この場合、法定相続人は2人となり、基礎控除額は4,200万円です。

 

次に、遺産総額を計算し、基礎控除額と比較します。遺産総額が基礎控除額以内であれば、相続税はかかりません。


3.相続税を払えない場合はどうすればいい?

相続税を払えない場合はどうすればいい?

2. 相続人全員の同意を得られなかった場合

相続人全員の同意が得られなくてもできる対処法もあります。

 

  1. 相続税の延納

相続税を納期限の10ヵ月以内に納付できない場合、要件を満たし担保を準備できれば、分割払い(年払い)が可能です。延納の担保には、国債、地方債、社債、土地、建物などが使用できます。ただし、延納には利子税がかかります。

 

  1. 相続税の物納

相続税を払えず、延納もできない場合、一定の要件を満たせば相続財産による物納が認められています。物納できる相続財産には優先順位があり、第1順位は不動産、国債、地方債、上場株式など、第2順位は非上場株式、第3順位は動産です。

 

  1. 金融機関でお金を借りる

相続税の納税資金がない場合、金融機関からお金を借りる方法もあります。ただし、利息も含めて返済が必要なため、負担が大きくなるかもしれません。しかし、国が認める延納でも利子税を支払う必要があるため、融資金利が延納の利子税よりも低い場合は、金融機関から借りるのも一つの方法です。

 

これらの対処法を検討し、適切な方法を選びましょう。

4.まとめ

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