買取再販住宅と中古住宅の違いやメリットデメリット
住宅メーカーや不動産会社などの事業者が住宅を買い取った後にリフォームまたはリノベーションを行い、中古物件として販売する住宅のことを「買取再販住宅」といいます。中古住宅と買取再販住宅、どちらがよいのか迷われている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回の記事では、買取再販住宅と中古住宅の違いや買取再販住宅のメリットデメリットについて詳しく解説します。
1.買取再販住宅と中古住宅の違い
買取再販住宅とは、住宅メーカーや不動産会社が住宅を買い取り、その後リフォームやリノベーションを施し、中古物件として再販することを指します。不動産業者が直接売主となるため、仲介手数料が発生しない点も特徴です。
中古住宅との違いは以下のようになります。
| 買取再販住宅 | 中古住宅 |
販売主体 | 住宅メーカーや不動産会社などの事業者が、住宅を買い取り、リフォームやリノベーションを行い、中古物件として販売します。 | 一般の個人が所有していた住宅であり、再販のために売り出されます。
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改修やリノベーション | 買い取った後にリフォームやリノベーションが行われ、その費用は物件価格に含まれています。 | 改修やリノベーションの有無は、売主や物件によって異なります。必要な場合は購入者が負担することになります。 |
物件価格 | フォームやリノベーション費用を考慮しても、比較的安価に提供される傾向があります。 | 買取再販住宅よりも価格が幅広く、物件の状態やエリアによって大きく異なります。 |
仲介手数料 | 販売主体は不動産会社が直接売主となるため、仲介手数料は発生しません。 | 仲介業者が売買契約の仲介を行うため、仲介手数料が発生します。 |
保証 | 買取後の改修やリノベーションに関する一定期間の保証が提供されることがあります。 | 個人間の売買のため、保証が提供されることは一般的ではありません。 |
日本の空き家問題が深刻化する中、買取再販住宅は住宅市場の活性化に一役買っています。大手企業もこの分野に積極的に参入し、その中でも無印良品が展開する「MUJI× UR」は、無印良品とUR(都市再生機構)が連携した団地リノベーションプロジェクトとして注目を集めています。
2.買取再販市場は2030年に22%まで増加する見通し
大手企業も買取再販市場に参入する中、株式会社矢野経済研究所によると、今後も市場は拡大基調で推移し、2030年には2022年比で22.0%増の5万戸になると予測されています。
“不動産会社等が一旦購入し、リフォーム・リノベーションした後に販売する中古住宅買取再販は年々拡大しており、2022年の中古住宅買取再販市場規模(中古戸建及び中古マンションの買取再販戸数の合計)は成約戸数ベースで前年比5.1%増の41,000戸と推計した。市場拡大の主な要因は、中古住宅の需要増である。特に、新築分譲マンションの価格は高騰・高止まりしており、新築と比較して相対的に割安な中古住宅の需要が増えている。なかでも、買取再販物件は、リフォーム・リノベーションが施され、新築同様に入居できるため、人気を博している。”
引用元:株式会社矢野経済研究所
3.買取再販住宅の需要が高まる理由
古い住宅は時間とともに性能が低下し、老朽化が進む傾向にあります。そのため価格は比較的低めに抑えられますが、個人が購入する際にはリノベーションに関する判断や費用の見積もりが難しいという問題があります。
その問題をクリアしているのが買取再販住宅です。不動産会社などの事業者が提供する買取再販住宅は、豊富な経験に基づき、迅速かつ的確な判断が可能です。また、リノベーションに際しては市場の需要に合わせた間取りや設備仕様を取り入れることが一般的です。
一部の買取再販住宅は有名ブランドとのコラボレーションやデザイン性の高いリノベーションが施されています。ブランドのイメージや価値を反映したデザインや機能性が高く評価され、購入者の興味を引きつけます。このようなプロダクトに対するブランドの信頼や期待感が、需要の増加に寄与しているのでしょう。
また、仲介手数料が発生しない点や即入居可能な点も、買取再販住宅の魅力です。購入者にとっては手軽で明確な費用で新築並みのリノベーションが施された住宅が手に入るので需要が高まるのも納得ですね。
4.買取再販住宅のメリットデメリット
買取再販住宅のメリットデメリットをみてみましょう。
1. 買取再販住宅のメリット
買取再販住宅のメリットは多岐にわたりますが、以下に挙げることができます。
・新築並みのリノベーション済住宅に住める
買取再販住宅は、不動産会社や住宅メーカーなどの事業者が所有し、リフォームやリノベーションを施した物件が多いため、新築に近い状態で購入できます。
・即入居可能
リノベーションが完了した買取再販住宅は、すぐに入居することができます。新築や中古住宅の場合と比較して、引っ越しの手続きや待ち時間が短縮されます。
・価格が安い
通常、買取再販住宅の価格はリノベーションやリフォームを含めた総額で提示されます。そのため、購入者は費用の見積もりや追加費用の心配をする必要がありません。価格の透明性が高く、価格も比較的安く提供されているため、購入時の負担が軽減されます。
・仲介手数料がかからない
買取再販住宅の場合、売主が不動産会社や住宅メーカーであるため、仲介手数料が発生しません。
・選択肢が豊富
買取再販住宅にはさまざまなタイプやデザインの物件があります。また、有名ブランドとのコラボレーションやデザイン性の高いリノベーションが施された物件も存在します。自分の好みやニーズに合った物件を選ぶことができます。
・アフターサービスの利用がスムーズ
通常の中古住宅の売買では、契約不適合責任があるものの、それ以上のアフターサービスや保証がないことが一般的です。また、前の所有者にアフターサービスを求めることは難しいこともあります。一方、不動産会社が売主となる買取再販住宅では、買主は相談しやすい状況にあり、アフターサービスや保証を提供しているケースも多く見られます。(ただし、不動産会社ごとにアフターサービスや保証内容が異なるため、取引を検討している会社が提供するサービスを確認することが重要です)
・住宅ローン控除の適用期間が長い
詳しくは後述しますが、買取再販住宅は一般の中古住宅よりも住宅ローン控除の適用期間が長いというメリットもあります。買取再販物件は新築住宅と同様に住宅ローン控除の適用期間が13年となり、一般の中古住宅(適用期間10年)よりも適用期間が長めです。
2. 買取再販住宅のデメリットと注意点
買取再販住宅にはいくつかのデメリットや注意点があります。
・リノベーションの質にばらつきがある
買取再販住宅のリノベーションの質にはばらつきがあります。一部の物件では、安易なリノベーションや品質の低い材料が使用されている場合があるので注意しましょう。
・訳あり物件の可能性がある
過去に事件や事故が発生した経緯のある事故物件は、買い手がつきにくく価格が下がる傾向があります。不動産会社が事故物件を安価に仕入れ、リノベーションを施した後に買取再販住宅として販売するケースもあります。相場よりも過度に安い価格には注意が必要です。
・物件の不具合を見極めることが難しい
不動産会社によっては設計のプランニングは自社で行っても、施工は別業者に委託することもあります。その場合、最終的な仕上がりについて確認が不十分なことがあります。不安な場合は、ホームインスペクション(住宅診断)を利用するか、アフターサービスの保証を提供している業者を選ぶことが良いでしょう。
これらのデメリットや注意点を考慮しながら、買取再販住宅を検討することが賢明です。
5. 買取再販住宅を購入した場合の住宅ローン控除について
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して特定の住宅を購入、またはリフォームを行った場合に享受できる税制上の優遇制度です。年末時点での住宅ローン残高の0.7%に相当する額が一定期間内に所得税から控除されます。この控除が所得税で賄いきれない場合は、一部が住民税から控除されます。
住宅の種類 | 2023年入居 | 2024年入居 | 2025年入居 | |
新築住宅・買取再販 | 長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 (子育て世帯・若者夫婦世帯向け5,000万円) | 2024年と同じ内容で検討中 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 (子育て世帯・若者夫婦世帯向け4,500万円) | 2024年と同じ内容で検討中 | |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 (子育て世帯・若者夫婦世帯向け4,000万円) | 2024年と同じ内容で検討中 | |
その他の住宅 (既存住宅「その他の住宅」の場合) | 3,000万円 | 0円 (2023年迄に新築の建築確認は2000万円) | 2024年と同じ内容で検討中 | |
既存住宅 | 長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅 | 3,000万 | 3,000万 | 3,000万 |
その他の住宅 | 2,000万 | 2,000万 | 2,000万 | |
控除期間 | 新築住宅・買取再販 | 13年 (「その他の住宅」は、2024年以降の入居の場合10年) | 13年 (「その他の住宅」は、2024年以降の入居の場合10年) | 13年 (「その他の住宅」は、2024年以降の入居の場合10年) |
既存住宅 | 10年 | 10年 | 10年 |
※2024年3月現在の法令に基づいて作成
買取再販住宅と通常の中古住宅では、住宅ローン控除の条件に違いがあります。たとえば、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)省エネ住宅を購入し、令和4年から居住を始めた場合、買取再販住宅では借入限度額が4,500万円(子育て世帯や若者夫婦世帯の場合は5,000万円)となりますが、一般の中古住宅では3,000万円となります。また、控除期間にも3年の差があります。
これらの条件の違いから、買取再販住宅と通常の中古住宅での住宅ローン控除の適用が異なることがわかります。
6. まとめ
買取再販住宅は新築さながらの見た目と内装であるにもかかわらず、新築住宅に比べて安価である場合が多く、昨今の住宅市場において人気となっています。
買取再販住宅を検討する際には、記事内で解説したメリットやデメリット、注意点をしっかりと把握することが重要です。その上で、中古住宅の購入後にリフォームするなどの他の販売形態と比較し、自身のニーズや予算に合った住宅を選ぶことをおすすめします。