【老後の住まいの選択肢】50~60代で住まい選びをする際のポイント
不動産を売却する際には、仲介と買取の2つの主要な方法があります。それぞれの方法には異なるメリットとデメリットがあり、売却の目的や状況によって最適な選択が変わります。仲介は市場での競争を活用して高価格を狙う方法であり、時間をかけてじっくりと売却が進められます。一方、買取は迅速な現金化が可能で、手間も少ない方法です。本記事では、仲介と買取の違いと、それぞれのプロセス、費用、時間に関する比較を行い、自分に合った売却方法を選ぶためのポイントを解説します。
1.仲介と買取の違いとプロセスの違い
まずは、仲介と買取の違いと、利用する際のプロセスを解説します。
仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に立ち、取引を仲介する方法です。
売主は自分の物件を市場に出し、買主を探してもらいます。不動産会社は広告や内覧、交渉などを通じて物件を売却し、その成功報酬として手数料を受け取ります。
仲介のプロセス
- 物件の評価と準備 仲介では、まず不動産仲介業者による物件の評価が行われます。評価額に基づいて販売価格が設定されます。物件が市場で魅力的に映るように、内覧前の清掃や修繕が推奨されることがあります。
- 広告掲載とマーケティング 物件が準備できたら、仲介業者は広告を作成し、様々な媒体に掲載します。これにはオンラインの不動産ポータルサイトや、地元の新聞、ポスターなどが含まれます。マーケティング戦略によって、広範囲なターゲット層にアプローチします。
- 内覧と交渉 興味を持った買主が物件の内覧を行い、その後、価格や条件について交渉が行われます。仲介業者は交渉をサポートし、最終的な契約条件を取り決めます。
- 契約と引渡し 交渉が成立すると、売買契約書が作成され、必要な手続きが進められます。契約締結後、物件の引渡しが行われます。契約完了までには数週間から数ヶ月かかることがあります。
買取のプロセス
- 査定と申し込み
買取の場合、まず不動産会社に物件の査定を依頼します。査定額が提示され、売主がその価格に同意するかどうかを決定します。 - 契約と手続き
売主が査定額に同意すると、買取契約が締結されます。契約後、手続きが迅速に進められ、数週間以内に取引が完了することが多いです。内覧や修繕の必要がないため、手間が少ないのが特徴です。 - 現金化と引渡し
契約締結後、物件の引渡しとともに現金が支払われます。買取は迅速で確実な現金化が可能です。手続きが簡単で、時間がない場合や緊急の資金需要に対応しやすいです。
2.費用と時間の比較
仲介と買取は、かかる費用と時間にも違いがあります。
【仲介にかかる費用】
- 仲介手数料: 売却価格の約3%+消費税が一般的です。高額な物件では、手数料も高くなります。
- 広告費用: 一部の仲介業者では、広告掲載に関する費用が発生することがあります。
- 修繕費用: 内覧前に物件を整えるための修繕や清掃の費用が必要になることがあります。
【買取にかかる費用】
- 買取価格の減額: 買取では、市場価格よりも低めの価格で取引が行われるため、実際の売却価格が低くなります。
- 手数料: 買取業者が手数料を取ることは少ないですが、全体的に売却価格が低くなるため、相対的にコストがかかる場合があります。
【時間の比較】
- 仲介: 売却までに数週間から数ヶ月かかることがあります。市場の状況や物件の条件によっては、さらに長くなることがあります。
- 買取: 数週間以内に取引が完了することが多いです。迅速な現金化が可能で、時間がない場合には非常に便利です。
3.仲介のメリット
次に、仲介のメリットをみていきましょう。
仲介の最大のメリットは、希望価格での売却が可能な点です。不動産会社が市場での競争を活用し、複数の買主が興味を示すことで、価格が引き上げられる可能性があります。特に人気のエリアや物件に対しては、高値での売却が期待できる場合が多いです。たとえば、東京都内や横浜市内の人気エリアでの物件は、仲介によって相場よりも高い価格で売却されることがあります。
2. 柔軟な売却スケジュール
仲介を選ぶことで、売主は売却スケジュールを自分でコントロールできます。売主が急いでいなければ、最も有利なタイミングで売却を進めることができます。市場の動向や物件の状況に応じて価格調整を行い、より良い条件での取引が可能です。例えば、繁忙期や市場が活発な時期に合わせて売却を進めることで、より高い価格が実現できることがあります。逆に、売却を急ぐ必要がない場合は、じっくりと市場に出し、価格を引き上げる戦略を取ることも可能です。
3. 不動産会社が全面的にサポートしてくれる
不動産会社が全面的にサポートしてくれるため、手続きや交渉がスムーズに進みます。物件の広告作成や内覧の手配、交渉の進行などを代行してもらえるため、売主の負担が大幅に軽減されます。専門的な知識を持つ不動産会社が適正な価格での取引を目指してサポートしてくれます。特に複雑な契約書や条件交渉が必要な場合には、プロのアドバイスが大いに役立ちます。
4.仲介のデメリット
仲介のデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
1. 時間がかかる場合がある
仲介では、買主が見つかるまでに時間がかかることがあります。特に需要が少ないエリアや物件の場合、数カ月かかることもあります。また、売却が成立するまでの間に手続きや交渉が続くため、スピーディーな取引を求める人には不向きです。例えば、地域密着型の物件や条件が特殊な物件は、売却に時間がかかることが多いです。
2. 売却価格が不確定
仲介では、売主が希望価格を設定しますが、最終的な売却価格は市場価格や買主の状況に左右されます。最初に設定した価格からの値下げを余儀なくされることもあり、希望通りの価格で売却できるとは限りません。特に市場が冷え込んでいる時期には、価格の引き下げが避けられないことがあります。
3. 仲介手数料がかかる
仲介を利用する場合、売却額の一定割合を不動産会社に手数料として支払う必要があります。一般的に、手数料は売却価格の3%+6万円が相場とされており、売却額が高くなるほど手数料も増加します。このため、手数料を差し引いた実際の受け取り額が少なくなる可能性があります。例えば、2000万円で売却した場合、手数料は66万円(2000万円×3%+6万円)となります。
5. 買取のメリット
続いて、買取のメリットです。
1. スピードが速い
買取の最大のメリットは、取引が非常に迅速に進む点です。仲介では市場での販売や買主の募集、交渉を経る必要がありますが、買取では不動産会社が直接購入するため、通常は数週間以内に取引が完了します。例えば、急な引越しや資金繰りが必要な場合、買取によって数日から数週間以内に現金化することが可能です。特に、引越しや転職などで急いで現金が必要な場合には、買取のスピードが大きなメリットとなります。
2. 手間が少ない
買取では、不動産会社が物件の調査や契約の手続きを全面的にサポートするため、売主は手間が大幅に削減されます。内覧や修繕、広告作成などの作業が不要で、売主は物件をそのまま引き渡すことができます。たとえば、物件の清掃や修理が必要ないため、売主は物件の状態に関わらず簡単に取引を進められます。また、契約手続きも簡素化され、専門的な知識がなくても安心して取引を進めることができます。
3. 現金化の確実性
買取では、不動産会社が直接買い取るため、売主が売却を断られるリスクが少ないです。仲介と異なり、買主を探す必要がないため、「売れ残り」の心配がありません。物件の状態や市場の動向にかかわらず、確実に売却が成立します。特に状態が悪い物件や特殊な物件では、買取が安心です。
6. 買取のデメリット
買取のデメリットもみていきましょう。
1. 仲介よりも売却価格が低い
買取の最大のデメリットは、売却価格が市場価格よりも低くなることです。不動産会社は転売や再販を目的としているため、利益を確保するために安めの価格を提示します。結果として、仲介よりも2割~3割程度低い価格になることが一般的です。
買取ではスピーディーに売却が完了する反面、もっと高値で売れる機会を逃したと感じることがあります。早急に決断することで、将来的に価格が上昇する可能性を見逃すリスクがあるため、冷静な判断が必要です。たとえば、数年後にエリアが再開発されて地価が上昇する可能性があった場合、その利益を逃すことになります。
2. 物件によっては買取不可の場合もある
すべての物件が買取の対象になるわけではありません。特に築年数が経過している物件や特殊な条件を持つ物件、またはリフォームが必要な物件などは、買取対象外とされることがあります。その場合、仲介での売却を検討する必要があります。
3. 市場での競争を利用できない
買取では市場での競争を利用できないため、仲介に比べて高い売却価格を狙うことが難しいです。複数の買主が興味を示す状況を作ることができないため、高値での売却を目指す場合には不向きです。たとえば、市場が活発なエリアでは、買取によって得られる価格が市場価格に達しない可能性が高いです。
7. 売却方法の選び方
仲介にすべきか買取にすべきか、悩んだ際の選び方のポイントをいくつか説明します。
1. 自分のニーズを明確にする
売却方法を選ぶ際には、自分のニーズや状況を明確にすることが重要です。例えば、迅速な現金化が必要な場合には買取が適していますが、高価格での売却を狙いたい場合には仲介が有利です。売却の目的や状況を考慮し、自分に最適な方法を選ぶことが大切です。
2. 市場の状況を調査する
売却を考える際には、まず市場の状況を調査することが必要です。不動産市場の動向や物件の価格帯を把握し、自分の物件がどのように評価されるかを理解することが重要です。市場の活発度や需要の高いエリアでは、仲介による高価格での売却が可能です。
3. 物件の状態を冷静に判断する
物件の状態によって、仲介と買取のどちらが適しているかが変わります。リフォームや修繕が必要な物件や、状態が悪い物件は買取が適している場合があります。逆に、新築や状態の良い物件では、仲介を利用して市場価格を最大限に引き出すことが有利です。
4. 手数料とコストを比較する
仲介と買取には、それぞれ異なる手数料やコストがかかります。仲介では手数料が発生し、買取ではリフォームや修繕が必要な場合に価格が減額されることがあります。売却の総コストを比較し、最終的な利益を算出することが重要です。自分にとって最もコストパフォーマンスが良い方法を選ぶことが大切です。
8. まとめ
仲介と買取のそれぞれの方法には独自の特徴があり、売却の目的や物件の状態、急ぎ具合などによって選択が分かれます。仲介は市場での競争を活用し、高い売却価格が期待できる一方で、時間がかかることがあります。買取は迅速な現金化が可能で手間も少ないですが、売却価格が市場価格よりも低くなることがあります。売却方法を選ぶ際は、自分のニーズや市場の状況、物件の状態をよく考慮し、手数料やコストを比較して最適な選択をすることが重要です。