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■住活コラム

不動産査定について①(査定の種類・査定価格の算出方法・査定前の準備)

【目次】

1.不動産査定の種類

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不動産査定は主に、AI査定簡易査定訪問査定の3つの方法があります。それぞれの特徴を説明します。

 

1.AI査定(所要期間:数分~即日)

AI査定は、物件の基本的な情報を入力するだけで査定額を簡単に算出できる便利なWebサービスです。個人情報として必要なのはメールアドレスのみで、他の個人情報は一切不要です。このサービスでは、過去の売却事例と入力された物件情報を照らし合わせ、AIが査定額を算出します。

 

AI査定の大きなメリットは、その手軽さとスピード感です。最短1分で査定結果を知ることができるため、時間を節約しつつ、簡単に物件の価値を把握できます。インターネット上で完結するため、外出する手間も省けます。

 

一方で、AI査定にはいくつかのデメリットも存在します。AIが計算する査定額は、入力されたデータと過去の取引データを基にしているため、最新の取引状況や個別の事情が反映されにくいです。そのため、査定の精度が必ずしも高いとは言えません

 

AI査定はあくまで機械的な計算に依存しているため、専門家の目による細やかな評価や、現地の状況に基づいた査定とは異なります。そのため、実際の売却価格と乖離する可能性があることも念頭に置いておきましょう。

 

 

2.簡易査定(所要期間:即日~5日程度)

簡易査定、またの名を「机上査定」と呼ばれるこの査定方法は、最短で即日、通常は5日程度で査定結果が得られます。不動産会社が依頼を受けた物件の情報、取引実績、そして市場動向を元に査定額を算出します。

 

不動産会社によって使用するデータや情報は異なるため、査定額にも差が出ることがあります。例えば、A社では3,000万円と査定された物件が、B社では3,500万円と評価されることも珍しくありません。

 

そのため、机上査定を行う際には、複数の不動産会社に査定依頼をして比較・検討することが重要です。複数の査定結果を見比べることで、物件の正確な価値を把握しやすくなります。また、各社の査定根拠を理解することで、より納得のいく売却活動ができるでしょう。

 

 

3.訪問査定(所要期間:1~2週間程度)

訪問査定とは、不動産会社の担当者が直接物件を訪問し、詳細な調査を行ったうえで査定額を算出する方法です。結果が出るまでには、通常1週間から2週間程度かかります。

 

不動産会社は物件の状態を直接目視でチェックするだけでなく、近隣との境界や付帯設備、周辺環境や立地条件も含めて詳細に調査します。そのため、机上査定と比べてより正確な査定額が得られる可能性があります。

 

この詳細な調査によって、机上査定で得られた査定額と大きな差が出ることもあります。実際の物件の状態や周辺環境を考慮した査定が行われるため、より現実的な価格が提示されるでしょう。

 

訪問査定を行うことで、物件の真の価値を把握しやすくなり、売却を検討する際に役立つ情報が得られるでしょう。複数の不動産会社に訪問査定を依頼して比較することで、より納得のいく結果を得ることができます。

 

2.査定価格はどのように決まる?

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不動産の査定価格は、どのように算出されるのでしょうか。

1.取引事例比較法

取引事例比較法は、周辺の似ている物件の取引事例を基に査定価格を算出する方法です。特にマンションや土地(一戸建ての土地部分も含む)の査定に広く利用されています。

 

【取引事例比較法の手順】

 

1.類似物件の取引事例収集

対象物件と似ている物件の過去の取引事例を集めます。

 

2.成約価格の比較

集めた取引事例の成約価格を比較し、査定価格の基準を決定します。

 

3.価格の修正

駅からの距離や室内の状態など、物件固有の状況を考慮して価格を修正します。

類似性が高く、新しい事例を用いるほど、精度の高い査定結果が得られます。そのため、取引実績の豊富な不動産会社に査定を依頼することが重要です。経験豊富な不動産会社は、最新のデータを持ち、より正確な査定を行うことができます。

 

2.原価法

原価法は、所有する不動産を再度建築した場合に必要となるコストを基に算出する方法です。特に一戸建ての建物価格を算出する際に利用されます。

 

【原価法の手順】

原価法で査定価格を算出するには、再建築した場合のコストを計算し、さらに築年数に応じた減価修正を行う必要があります。計算式は以下の通りです。

「査定価格 = 単価 × 総面積 × (耐用年数-築年数) ÷ 耐用年数」

 

たとえば、面積20坪、築10年の木造一戸建てで、再建築費用が坪50万円の場合を考えてみましょう。

坪50万円 × 20坪 = 1,000万円

1,000万円 × (22年 - 10年) ÷ 22 = 約545万円

 

したがって、この物件の査定価格は約545万円となります。

原価法は、再建築コストと減価修正を基に算出されるため、特に築年数が少ない物件に対して有効な方法です。査定価格の目安を得るために、耐用年数や再建築コストを正確に把握することが重要です。

 

3.収益還元法

収益還元法は、その不動産が将来生み出すと予想される利益を基に査定価格を算出する方法です。主にアパートやマンション、オフィスなどの収益物件の査定に利用されます。収益還元法には「直接還元法」と「DCF法」の2つの方法があります。

 

・直接還元法

直接還元法は、不動産が1年間で生み出す純利益を、近隣の似た条件の物件の還元利回り(不動産の収益性を表す利率)で割って、物件の収益価格(査定価格)を求める方法です。計算式は「査定価格 = 1年間の純利益 ÷ 還元利回り」です。

 

・DCF法

DCF法は、将来得られる収益と売却価格を現在価格に換算し、それらを合計して査定価格を求める方法です。主に投資用不動産の査定に用いられます。

ただし、DCF法は計算方法が複雑であるため、直接還元法を利用する不動産会社のほうが多いようです。

3. 不動産査定を依頼する前にしておくこと

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次に、不動産査定を依頼する前にしておくべきことを説明します。

 

1.書類の準備

 

まず、AI査定や簡易査定を受ける際に必要となる情報は以下のとおりです。

 

・住所

・物件の種類

・面積

・築年数

・間取りなど

・訪問査定に必要な書類

 

訪問査定を受ける際に準備しておくとよい書類は、一戸建てとマンションで異なります。一戸建ての場合、以下の書類を用意しておくと査定がスムーズに進みます。

 

本人確認書類

運転免許証や保険証など

登記簿謄本

法務局、インターネット(※インターネットから入手すると証明書としては使えません)

権利証(登記識別情報通知)

購入時に取得(紛失の場合は司法書士に相談)

土地の実測図

測量士と土地家屋調査士に依頼する

土地の境界が確認できる資料

測量士と土地家屋調査士に依頼する

越境の覚書

隣人と協議して作成する

建物の設計図書(確認申請図、竣工図等の建物図面)

購入時に取得(紛失の場合は不動産会社に相談)

建築確認申請書および建築確認済証

購入時に取得(紛失の場合は建設業者や市区役所から取得可能)

検査済証

購入時に取得(紛失の場合は市区役所から台帳記載事項証明書を取得)

固定資産評価証明書

毎年4~6月に郵送される

 

2.物件の長所をまとめておく

 

不動産の査定や売却をスムーズに進めるためには、物件の長所をしっかりとアピールすることが重要です。以下に、思いつく限りのアピールポイントの例をまとめました。

 

交通利便性:電車やバスの本数が多く、通勤や通学に便利な立地です。

 

子育て環境:徒歩圏内に子どもを安心して遊ばせられる公園が多くあります。

 

安全性:夜間でも適度な人通りがあり、女性も安心して歩けます。

 

買い物の便利さ:早朝や深夜も営業しているスーパーがすぐ近くにあります。

 

教育環境:学区内の小学校や中学校の評判が良く、子育て世代に人気です。

 

また、物件の長所だけではなく、物件の設備や状態についても正確に伝えることが大切です。設備や建物に瑕疵がある場合は、隠さずにしっかりと伝えましょう。

 

3.物件の相場を調べておく

 

不動産価格の相場を調べる際に、不動産ポータルサイトで売却相場を確認することは基本的な方法です。ただし、ポータルサイトに掲載されている価格は「売り出し価格」であり、相場とは異なるため参考程度に留める必要があります。ここでは、より具体的に不動産価格の相場を自分で調べる方法を2つご紹介します。

 

【方法①】レインズマーケットインフォメーションで調べる

レインズマーケットインフォメーションは、公益財団法人不動産流通機構が運営するサイトで、全国の不動産取引情報を閲覧できます。不動産会社だけでなく一般の方も利用可能です。ただし、成約時期や築年数などの詳細は記載されていません。不動産取引が特定できないよう配慮されているためです。

 

・サイトで確認できる内容

価格:百万円単位で十万円単位を四捨五入して表示。

単価:万円/m²で小数点以下を四捨五入して表示。

面積(建物・土地):実際の面積に20m²の幅を持たせて表示(200m²超は「200m²超」と表示)。

築年:実際の築年に2年の幅を持たせて表示。

成約時期:成約された年月を3カ月で区切った範囲で表示。

 

・利用時の注意点

成約事例だけを基準にしないことが重要です。サイト内には「不動産の価格は個別要因や取引事情により変動し、一律に定まるものではないので、ご注意ください」という注意書きもあります。不動産の相場は、需要と供給、物件概要によって変化します。サイト内の成約事例と自分の物件を比較して、同じ価格で売却できると判断しないようにしましょう。

 

【方法②】土地総合情報システムを利用して取引価格を調べる

土地総合情報システムは、国土交通省が運営するサイトで、不動産の取引価格や地価公示、都道府県地価調査の価格を閲覧できます。こちらも一般の方が利用可能ですが、物件が特定できないよう詳細は分からないようになっています。

 

・確認できる取引情報

 

土地

土地と建物

中古マンション

農地

林地

 

物件の詳細については、「所在地」、「最寄駅」、「取引総額」、「坪単価」、「面積」などが分かります。物件の所在地は町名までの表示となり、町名で大まかな相場を把握することになります。

4. まとめ

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