不動産売却時にかかる税金や譲渡所得で利用できる特例
    ■住活コラム

    不動産売却時にかかる税金や譲渡所得で利用できる特例

    【目次】

    1.不動産売却時にかかる税金

    離婚で家を売却するメリットやタイミング、売却する時の手順についてChapter1の画像


    契約書に記載されている「契約書貼付する収入印紙は、売主・買主が平等に負担するものとする」という記載は、売主と買主が印紙代を平等に負担することを意味しています。 しかし、実際の負担方法には、以下の2つのケースがあります。
    a.契約書原本を2部作成し、売主・買主がそれぞれ印紙代を負担
    この場合、契約書の原本が2部作成され、売主と買主がそれぞれの原本に必要な印紙を貼付し、印紙代を負担します。

    b.契約書原本を1部作成し、原本を保管する方が印紙代を負担
    この場合、契約書の原本は1部作成され、通常は不動産取引の仲介業者や弁護士などが原本を保管します。この場合、原本を保管する側が印紙代を負担することが一般的です。

    これらの方法は、不動産取引における慣習や契約の条件によって異なることがあります。契約書の作成や印紙代の負担については、売主と買主が合意し、契約書に明記されることが重要です。

    2. 仲介手数料の消費税

    仲介手数料は、売買価格に応じた料率が宅地建物取引業法で定められており、売買契約成立時には売買価格の3%に加えて6万円、そして消費税がかかります。

    支払うタイミングは、売買契約成立時に50%、残りの50%は引き渡し完了時に支払われます。

    仲介手数料は宅地建物取引業法で以下のように上限が定められています。

     

    売買価格(税込)料率(税抜)
    200万円以下の部分5%
    200万円超400万円以下の部分4%
    400万円超3%

    たとえば、不動産の売買価格が400万円を超える場合は、上限料率が3%となりますので、計算式は「仲介手数料=売買価格×3%+6万円+消費税」となります。

     

    3. 登録免許税 登録免許税は、不動産の登記手続きに伴って発生する税金です。不動産の登記は、所有者や抵当権などの権利関係を明確にするために行われます。

    売主が物件を売却する際には、抵当権が設定されている場合、売却資金でその抵当権を解消するために「抵当権抹消登記」が必要です。この手続きは、売主の権利を買主に譲渡する前に行われます。通常、抵当権抹消登記と所有権移転登記は決済日に一緒に行われます。また、売主の住所が変更されている場合には「住所変更登記」も必要です。

    抵当権抹消登記の場合、登録免許税の費用は1物件につき1,000円です。1物件とは、土地が1筆であり、建物が1つの建物である場合を指します。たとえば、一戸建ての場合、土地と建物2件分の登録免許税がかかります。登録免許税の支払いは、登記申請時に司法書士の報酬と一緒に請求され、指定された金額の印紙を貼ることで印紙税も納められます。

    4. 譲渡所得税

    不動産を売却する際には、売却益に譲渡所得税がかかります。売却益が発生していた場合は確定申告を行い、納税をしましょう。計算方法は次項で詳しく解説します。

    2.譲渡所得税の計算方法

    不動産売却時にかかる税金や譲渡所得で利用できる特例_譲渡所得税の計算方法

    譲渡所得は、売却時の価格ではなく、取得費用と売却費用を売却金額から差し引いて算出されます。この章では、譲渡所得税の計算方法を解説します。

     

    3.譲渡所得で利用できる特例

    不動産売却時にかかる税金や譲渡所得で利用できる特例_譲渡所得で利用できる特例

    2. 所有期間10年超の物件に対する軽減税率の特例

    この特例は、自らの居住用のマイホームを売却した際に適用され、一定の要件を満たすことで長期譲渡所得税の税率を軽減するものです。


    特例を受けるための基本的な要件は、売却物件が自分の居住用財産であり、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていることです。


    通常、長期譲渡所得に対する税率は20.315%ですが、この特例を利用すると、課税譲渡所得の最初の6,000万円までが14.21%まで軽減されます。ただし、6,000万円を超える部分については通常の税率が適用されます。

    詳細は以下のとおりです。

    譲渡所得所得税住民税合 計

    課税譲渡所得が

    6,000万円以下

    10.21%4%14.21%
    譲渡所得所得税住民税合 計

    課税譲渡所得が

    6,000万円超(6,000万円以下の部分)

    10.21%4%14.21%

    課税譲渡所得が

    6,000万円超(6,000万円超の部分)

    15.315%5%20.315%


    なお、この特例は「3,000万円の特別控除の特例」と併用可能です。

    詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。

    No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm

    4.売却でかかる税金の納付時期や納付方法

    不動産売却時にかかる税金や譲渡所得で利用できる特例_売却でかかる税金の納付時期や納付方法

    確定申告の計算期間は1月1日から12月31日までの1年間です。必要な書類を用意して、2月15日から3月15日の間に提出しましょう。

     

    ◎確定申告の手順

    1.課税譲渡所得を計算する。

    2.必要書類を準備する。

    3.確定申告書を作成する。

    4.税務署に訪問するか、電子申告で手続きを行う。

    5.納税か還付を受ける

    申告書を提出した後は、還付を受けるか、納税します。還付を受ける場合は、申告書に記入した金融機関の口座に振り込まれます。

     

    ◎納税の方法

    ・振替納税を利用する

    ・現金で納付する

    ・国税電子申告・納税システム(e-Tax)で納付する

    ・クレジットカードで納付する

     

    ◎確定申告に必要な書類

    ・譲渡所得の内訳書…不動産の概要や売却金額、費用などを記載した書類。税務署から送付されるので、記入して提出します。

    ・譲渡時の書類…売買契約書や売買代金受領書、固定資産税精算書、仲介手数料の領収書などのコピー。

    ・取得時の資料…不動産を取得した際の売買契約書や固定資産税精算書、仲介手数料の領収書などのコピー。

    ・売却した不動産の全部事項証明書…法務局で入手できます。特例の申告では原本の提出は必要ありません。

    5.まとめ

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    所有している空き家を売るべきか・貸すべきか判断するポイントは?
    ■住活コラム

    空き家が過去最多の900万戸に!所有している空き家を売るべきか・貸すべきか判断するポイントは?

    1.空き家が過去最多の900万戸に

    空き家が過去最多の900万戸に_所有している空き家を売るべきか・貸すべきか判断するポイントは?

    2.空家対策特措法が改正された影響は?

    空家対策特措法が改正された影響は?_所有している空き家を売るべきか・貸すべきか判断するポイントは?

    令和5年12月13日に、空家対策特措法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)が施行されました。

     

    詳しくは国土交通省の『空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について』をご確認ください。

    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html

    3.空き家と固定資産税の関係について

    空家対策特措法が改正された影響は?_所有している空き家を売るべきか・貸すべきか判断するポイントは?

    2. 「住宅用地の特例措置」が適用されると土地の税率が軽減

    空き家でも、「住宅用地の特例措置」が適用されると、土地の一部に税率の軽減が行われます。軽減率は以下のとおりです。

     

    小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 固定資産税が1/6

    一般住宅用地(200㎡超の部分)     固定資産税が1/3

     

    この特例措置により、所有者は固定資産税の支払いを軽減できますが、条件として住宅が建っていることが条件となります。

     

    3. 「特定空き家」「管理不全空き家」は固定資産税が高くなる

    先に説明した住宅用地の特例措置は、「特定空き家」に指定されると利用できません。
    また、先述したとおり、空き家対策特別措置法の改正により、新たに「管理不全空き家」も指導・勧告の対象になりました。空き家が建つ市区町村から「特定空き家」または「管理不全空き家」としての指導を受け、それに従わずに勧告を受けると固定資産税等の軽減措置(住宅用地特例)が受けられなくなります。

    軽減税率の適用が外されると、1.4%の税率でそのまま課税されます。更地に戻した場合も特例の対象外となります。特例による軽減税率は最大で1/6なので、更地に戻すと固定資産税が最大6倍に増加します。

    4.空き家を売るメリットデメリット

    空家対策特措法が改正された影響は?_所有している空き家を売るべきか・貸すべきか判断するポイントは?

    【空き家を売るメリット】

    メリット①:売却したら現金化できる

    空き家を売却すれば、その資産を現金化することができます。手元に現金が入ることで、将来の投資や生活費に活用できます。

     

    メリット②:空き家の維持や管理から解放される

    空き家を売却すれば、その維持や管理から解放されます。管理やメンテナンスにかかる手間や費用がなくなり、ストレスフリーな生活を送ることができます。

     

    デメリット:資産がなくなる

    空き家を売却すれば、その資産が失われます。将来的な資金不足や突発的な支出に備えて、資産を保持したい場合は慎重に考える必要があります。

     

    5.空き家を貸すメリットデメリット

    空家対策特措法が改正された影響は?_所有している空き家を売るべきか・貸すべきか判断するポイントは?

    【空き家を貸すメリット】

    メリット①:家賃収入を得られる

    空き家を貸し出すことで、家賃収入を得ることができます。定期的な収入源となり、経済的な安定感を得ることができます。

     

    メリット②:家の劣化を防げる

    定期的な入居者がいることで、家の劣化や荒廃を防ぐことができます。空き家リスクを低減し、不動産の価値を維持することができます。

     

    デメリット①:空き室リスクがある

    長期間入居者がいない場合、空き室リスクが発生します。家賃収入が途絶えることで収入の不安定性が生じる可能性があります。

     

    デメリット②:将来売りたいときに難易度が上がる

    将来的に売却したい場合、入居者がいる状態での売却は難しくなります。また、入居者との契約解除などの手続きが必要となります。

     

    デメリット③:毎年確定申告が必要

    家賃収入がある場合、毎年の確定申告が必要となります。手続きの煩雑さや税金の支払いに対する負担が生じる可能性があります。

    6.空き家は売るべきか?貸すべきか?判断するポイント

    空き家は売るべきか?貸すべきか?判断するポイント_所有している空き家を売るべきか・貸すべきか判断するポイントは?

    空き家を放置していてもひとつもメリットはありません。売るか貸すか早めに選択をしないと損をするばかりです。前章では売る場合と貸す場合のメリットデメリットを解説しましたが、この章では、空き家を売るか貸すか、判断する際のポイントを解説します。

    7.まとめ

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